フィルムノート– tag –
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ロマンス・ヒューマン
コット、はじまりの夏(The Quiet Girl|2022)— 語られなかった時間が、そっと残る
1980年代初頭のアイルランド。緑の濃い田園地帯に囲まれた農家で、寡黙な少女コットは一夏を過ごします。監督はコルム・バレード、主演はキャサリン・クリンチ。共演にキャリー・クロウリーとアンドリュー・ベネットが名を連ね、家庭の中で居場所を見つけ... -
ロマンス・ヒューマン
キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン(Catch Me If You Can|2002)|偽りの経歴で世界を渡った青年と追う捜査官
キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャンは、実在の詐欺師であるフランク・W・アバグネイル・Jr.の若き日々をもとに、逃げる者と追う者の関係を軽快なテンポで描いた作品である。物語は1960年代のアメリカを起点に、家庭環境の変化によって居場所を失った青年... -
SF・ファンタジー
エターナル・サンシャイン(Eternal Sunshine of the Spotless Mind|2004)— 忘却の中で、残り続けるもの
冬のニューヨーク。色を失った街並みの中で、ジョエルとクレメンタインは偶然のように出会い、そして同じように別れを選びます。監督はミシェル・ゴンドリー、脚本はチャーリー・カウフマン。主演はジム・キャリーとケイト・ウィンスレットです。感情を抑... -
ロマンス・ヒューマン
ザ・ホエール(The Whale|2022)— 閉ざされた部屋で、呼吸が語るもの
舞台は現代アメリカ。外界から切り離された一室で、オンライン講義を続ける英語教師チャーリーの日々が、静かに積み重なっていきます。監督はダーレン・アロノフスキー、主演はブレンダン・フレイザー。共演にセイディー・シンク、ホン・チャウ、サマンサ... -
ロマンス・ヒューマン
ドリームガールズ(Dreamgirls|2006)— ステージの光と、その裏側に残る声
1960年代のデトロイトからショービジネスの中心へ、夢を掴もうとする三人の女性と、彼女たちを取り巻く男たちの選択を追うのが、ビル・コンドン監督による『ドリームガールズ』です。モータウン隆盛期を思わせる音楽と衣装のきらめきが画面を満たす一方で... -
サスペンス
ダウントン・アビー(Downton Abbey|2010–2022)— 終わりへ向かって、ゆっくりと生き続けた時間
1912年、ヨークシャーの田園に建つダウントン・アビーでは、貴族クローリー家と使用人たちが、長く続いてきた秩序の中で日々を送っています。階上と階下、主人と使用人、その距離は規則として掲げられるより先に、歩き方や呼び方、部屋の使い方として身体... -
心理ドラマ
アメリカン・レボリューション(The American Revolution|2000)— 独立という選択が刻んだ時間の重み
18世紀後半の北米植民地で起きた独立戦争を描く本作は、国家誕生の物語を英雄や勝利の連なりとして語ることを避け、人々がそれぞれの生活の中で選択を迫られていく時間を、静かな映像の積層として提示します。戦場の決断と同じ重さで、家を離れるか留まる... -
ロマンス・ヒューマン
アフターサン(Aftersun|2022)— 記憶の中で揺れ続ける夏の輪郭
1990年代後半、トルコのリゾート地で過ごすひと夏の休暇を舞台に、シャーロット・ウェルズ監督は父と娘の時間を静かにすくい上げます。30代の父カラムと、11歳の娘ソフィが共有する数日間は、日差しやプールの水音、ビデオカメラの揺れとともに、後年にな... -
コメディ
スパイナル・タップ(This Is Spinal Tap|1984)— 音量の向こう側に残る、笑いと現実の境目
1980年代初頭のアメリカとイギリスを行き来しながら、架空のヘヴィメタル・バンドのツアーを追いかける本作で、ロブ・ライナー監督は、音楽ドキュメンタリーの形式をそのまま借りて、虚構と現実の境界を静かに崩していきます。スパイナル・タップという過... -
アクション
ボーン三部作(The Bourne Trilogy|2002–2007)— 『ボーン・アイデンティティー』『ボーン・スプレマシー』『ボーン・アルティメイタム』の軌跡
地中海で発見された男が、自分の名前さえ思い出せないまま逃走の旅へ踏み出し、ヨーロッパ各地を転々としながら失われた記憶を追う軌跡が三つの章として連なります。マット・デイモンは抑制された身振りと言葉少なな表情で、ジェイソン・ボーンという存在...
